歯周病は本当に怖い病気です
このブログは2004年から20年近く書き続けてきたものを、抜粋してまとめたもののひとつです。
ご参考までにお読みください。〔2007年の記事ですが、現在にも共通することがたくさんあります。〕
当院では現在、衛生士によるケアを中心に「歯周病予防」に取り組んでいます。
「私は歯周病なんかじゃない!」 そう思われている方はたくさんいると思います。
そういう私だって「まさか私が歯周病なわけないはず」と思っています。
しかし歯周病は五大成人病のひとつにも挙げられるほど、多くの方がなってしまう病気なのです(>。<)
ではなぜ、「私は違う」と断定し切れてしまうのか?それは自覚症状に非常に乏しい病気だからです。
自分が歯周病だと気づく頃には、歯肉の膨張や出血、歯の揺れや移動そして口臭が起こり、最終的には歯が抜け落ちてしまうのです!
歯を失う方の大半は虫歯ではなく、歯周病によるものだということを御存知でしたか???
そうならないためには、定期健診で歯科医師に発見してもらうしかないのです。
早期発見が出来れば、最悪の事態を食い止めることが出来るだけでなく、健康な歯肉を取り戻すことが出来ます。
具体的な治療方法としては、
初期
1.適切なブラッシング指導
2.歯石など原因の排除
中期
1.抗生剤の使用
2.歯の固定
3.歯肉の切開による排膿
が挙げられます。
特に初期の治療は簡単なようですが、歯科医院でしか治療が受けられない内容です。
どの病気でも同じですが、「予防治療」そして「早期発見・早期治療」が大切です。
このコラムを読んで、ひとりでも多くの方が定期健診に行かれることを祈って・・・☆☆☆
歯周病になってしまったら・・・
以前もこちらで取りあげたことがありますが、やはりどうもピンとこないという方のために、実際の症例から皆さんに理解を深めていただこうと思います。
Kさん・36歳男性
〔受診理由〕
3~4日前より歯か歯茎が痛くて歯磨きが出来ない
〔初診時の口の中の様子〕
すべての歯にわたって歯石がびっしりとついており、特に左側の歯肉が腫れていた
〔一番最初の処置〕
歯石を除去したが、あまりにも痛みが激しいため上の歯の歯石だけ除去
その後Kさんは、2~3日後から、徐々に十分なブラッシングが行えるようになったそうですが、4日おきに歯石を取りに来院されています。
ほぼ毎日の歯磨きの時に出血するそうで、朝起きた時に枕に血がついていて心配になり、再び相談にいらっしゃいました。しかしかなり重度な歯周病のため、歯肉からの出血はどんどんさせたほうが良いとアドバイスを受けて帰っていかれました。
なぜそんなにも出血させたほうがいいのか、というと、歯周病の歯肉からの出血はいわば排膿やうっ血した不良血液の排出を意味するからです。(これはあくまで医師が診断することが前提です)
ご自身の自覚症状では、「口の中がとてもにおう」ということが気になっていらっしゃったそうです。
前にも書いたとおり、歯周病は本当に怖い病気です!私なんて、「朝枕に血がついていたら・・・」と考えるだけで怖くなってしまいます(>.<)
どうか歯周病になってしまう前に、少しでも「おかしい」と感じたら歯科医院の門を叩かれることをお勧めします!
歯周病が原因と分かった難病
Buerger病(バージャー病)という難病指定疾患があります。
全国に約一万人の難患者がおり、男女比が9.7対1で、圧倒的に男性に多い病気です。
症状は四肢(手足)の末梢血管閉鎖をきたす為に、四肢・指などに虚血症状=しびれや蒼脈、疼痛や壊死に至ることもあります。
長く原因不明で、喫煙や受動喫煙が要因のひとつとして考えられていましたが、最近、壊死を起こした末梢の組織から、歯周病菌が発見され、血栓を作っていることが判りました。
歯周病と喫煙にも関連性が高いと考えられており、今回の発見は難病の治療に大きく寄与するとともに、歯周病の予防・治療の重要性を改めて指し示すきっかけとなりました。
私もこのような病気があることも実際知りませんでしたが、今回の発見を先生方から聞き、改めて歯周病の怖さ、また「たかが口の中」と思ってしまいがちなことを反省しました。
みなさんも是非、「されど口の中」と思って頂き、検診を受けてくださいね☆
体の病気と歯肉のふかーい関係
まず想像してみてください☆
いつものように歯磨きをしていると、歯ブラシや泡に血が付いてしまいました。
みなさんなら、どう思われますか?
私なら、一度や二度はそのまま見過ごし、三度目くらいから歯ぐきの病気を疑う程度だと思います。
しかし、実は歯ぐきからの出血が、口内だけではなく全身の疾患の症状の現れだということもあるのです。
例えば糖尿病は歯周病になりやすい、または歯周病である場合が多いといわれています。
なぜなら感染症にかかりやすくなり、体の様々な部分に炎症を起こしてしまうからです。
そしてその炎症には出血が伴って止まりにくいという特徴もあります。
あとは、血小板減少症や白血病もあります。
ブラッシングをして出血した際に止まりにくいようだったら、こちらが考えられます。
そして高血圧で降圧剤を飲んでいる方も、歯肉炎を引き起こしやすい成分が入っていることがあるので、出血をすることがしばしばみられます。
いかがですか?つい歯科と内科の分野を分けて考えがちですが、歯科の先生も医科の先生と同じ勉強をされています。
ですから、当然口内を治療している際に、違う病気に気づいたりすることがあるわけです。
たかがブラッシング時の出血と侮らずに、検診を受けられることを、心からお勧めします。